忍者と「おもてなし」が切り開く未来|Kintone Corporationが挑むアメリカ市場攻略の裏側

Kintone Corporation

忍者と「おもてなし」が切り開く未来

アメリカ市場で独自のポジションを築き上げるには、現地文化への深い理解と、日本らしい魅力をどうローカライズするかが鍵。サイボウズの米国法人、Kintone Corporationは「おもてなし」と「KAIZEN」をキーワードに、日本企業ならではの価値観をうまく活用しながら、競合との差別化を狙いました。そのプロセスにあったのは、日本国内外のチーム間で緻密な連携を図りながら生み出されたクリエーティブ戦略。その制作過程やマーケティング施策を通じた成功要因について営業担当の古賀と高橋に話を聞きました。


アメリカ進出への挑戦  Kintoneのステージアップ

─ このプロジェクトが始まるきっかけは何だったのでしょう?

古賀:
Kintone Corporationは、サイボウズが提供する業務改善ツール「Kintone」をアメリカ市場で広めるために設立されました。ただし、すでに強力な競合が存在するマーケットですので、独自の特徴を前面に押し出す方向性になりました。

イアン:
そうですね。「日本製品だから信頼できる」「日本文化への親近感」といった感情的な部分も含めたコミュニケーション設計が必要でした。それがこのプロジェクト全体のオリエンテーションにつながっています。

忍者がおもてなしとKAIZENを伝える──モチーフ選定までの道筋

─ 「忍者」というモチーフはどんな経緯で採用されたのでしょうか?

古賀:
「おもてなし」と「KAIZEN」、この2つは日本の文化や哲学を象徴する言葉として、ある程度アメリカでも認知されています。特に「KAIZEN」はマーケティングワードとして知られていますし、「おもてなし」は日本のホスピタリティ文化として浸透しつつあります。ただ、それをどう具現化して伝えるかがポイントでした。

イアン:
そこで出てきたのが「忍者」というモチーフでした。忍者には、任務遂行能力や目立たない献身的なサポートというイメージがありますよね。
言われずとも主君に寄り添い、行動し、任務を完遂する。まさにKintoneが提供するサポートサービスと重なる部分でもありました。また、日本製品=信頼性というブランドイメージとも合致しています。

─ 忍者は海外でも人気のモチーフですが、どのような点に注意されましたか?

古賀:
例えば衣装デザインですね。忍者とは忍ぶ者ですから、基本的には顔を隠しているものなんです。日本で忍者といえば目元だけ出しているイメージが思い浮かびませんか?

イアン:
最初は顔全体を覆う提案もあったんです。しかし海外における忍者とは、実はスパイ的な印象も強く、ビジネスシーンにおいて怪しげに見えてしまう可能性がありました。

古賀:
最終的にはしっかりと顔を出す形にして、親近感と信頼感を持たせるよう工夫しました。文化的背景によっては暗殺者やスパイのようなネガティブな印象を持つ人もいる。だからこそ、その文脈で誤解されないよう配慮しましたね。

文化の違いとの向き合い──細部まで徹底したローカライズ

─ 制作プロセスでは特にどんな点に注意されましたか?

古賀:

まず大事だったのは、「お客様視点」でどう受け取られるかという部分です。例えば、日本では感動して涙するシーンって「優しい」や「感受性が豊か」などといったポジティブに捉えられるじゃないですか。でもアメリカでは、「弱々しい」と感じられてしまうことがあるようです。

イアン:

そうなんです。だから表情や演技にも細心の注意を払いました。例えばCM内でリーダー役の人が喜ぶシーンがあるのですが、「泣いて喜ぶ」は日本的な喜び方。アメリカでは「力強く笑顔になる」といったような調整もありました。

─ まさに現地の文化を知らないと分からないことですね。他にはどのようなところに気を付けていましたか?

古賀:
発音ですね。英語は世界中で使われる言語だからこそ、特定地域の訛りが出てしまう。日本語で言えば、全国展開のCMに理由もなく方言が混じってしまうようなものです。

イアン:
意図のない訛りはただの違和感となり、本来伝えたかった内容より訛っていたことが残ってしまうんです。

古賀:
イアンはネイティブスピーカーだから、日本人ではなかなか気が付かないような微妙なニュアンスを聞きとれるんだよね。

イアン:
はい。ただ私だけではなく、現地の広告会社とも協力してチェックしています。

古賀:
国際的な広告会社のグループネットワークがあり、ADEXは日本で唯一参加しています。その繋がりによって現地の広告会社の多大なサポートと協力があり、日本側との連携もうまく機能したと思います。

─ 言語だけでなく現地のニュアンスまでしっかりと理解しなければいけないんですね。

古賀:
打ち合わせも日本語と英語、常に2つの言語を行き来する会話だったからね…本当にイアンには助けられたと思うよ。

イアン:
お役に立ててよかったです(笑)。

古賀:
このような海外スタッフへの対応力や、ネットワークを通じて現地の文化を留意した進め方ができるのも弊社の強さだと考えています。

丁寧さと品質へのこだわり──Made in Japan の価値

─ 撮影場所として日本国内を選ばれた理由について教えてください。

古賀:
コスト面もありますが、何よりも「丁寧さ」が理由です。今回撮影場所となった池袋スタジオでは、美術セットから照明まで細部まで突き詰めて作業しました。例えば家具一つ一つにも欧米風デザインへ寄せたり、小道具まで徹底して再現しています。このクオリティ管理についてクライアントから非常に高い評価をいただきました。

イアン:
日本独自のおもてなし精神も活きていますよね。例えば、丸一日かかる撮影の場合でもスタッフ全員が精度高く集中できる環境づくりとか。それって実は海外では難しい場合がありますよね(苦笑)。

グローバル展開へのヒント──柔軟性と思いやり

─ 今回のプロジェクトから得られた学びとは何でしょう?

古賀:
現地文化への理解が重要だということですね。「おもてなし」ひとつ取ってみても、日本人視点とは異なる解釈になります。それでも根底部分、顧客を第一に考えることは共通しているので、それぞれ翻訳・ローカライズして伝える必要がありますね。

イアン:
あとはコミュニケーション体制ですよね。我々だけではなく海外の広告会社との連携によって、お互い補完し合えたこと。本当ならば距離や言語障壁などハードルになるところですが、その辺りもうまくカバーできたと思っています。

─ ADEXだからこそ提供できるサービスにも「おもてなし」の精神を感じます。

古賀:
ADEXは多様な人材が所属する広告会社であり、海外に対する大きなネットワークもあります。それに加えて「どうしたら顧客が喜ぶか」という、日本企業らしいおもてなしの姿勢を徹底。だからこそ海外マーケットでも通用するサービスを提供できます。

イアン:
トラブルに対しても柔軟な姿勢でクリアしていく、これはシビアなルールの下で動くアメリカの現地企業ではなかなかできないことです。それこそ顧客に対する思いやりであり、日本らしさだと感じます。

古語:
どんなことでも我々は日本の献身的な姿勢でサポートいたします。ぜひご相談ください。

─ 本日はありがとうございました。


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