“迷子”期を迎える26歳、部下が折れるときに上司ができること〜新米管理職が知っておきたい部下との向き合い方〜
ADEX
若手社員調査から見えたマネジメントのヒント

新しくマネージャーになった人にとって部下とのコミュニケーションは悩みの種。職場でのコミュニケーションは部下の関係性を築く上で重要な要素ですが、年齢やキャリアの年次が進むにつれて、部下の目に見えない変化によってコミュニケーションがとりづらくなる場面があります。さらに上司がマネージメントに不慣れな新米管理職であればなおさら難しいでしょう。そこで今回ADEX日本経済広告社では、若手社員と呼ばれる20代社会人男女に調査を実施。若手社員が「迷子」になるタイミングを調査し、そのときに上司としてどのようにコミュニケーションを取るべきか、その秘訣を探ります。
①5年目から見えてくる”迷子”期。
20代中盤で迷いが生まれることは、若手社員が上司に望む指導方法の性質変化にも傾向が見えてきます。

グラフ1では22~23歳の新卒社員から24~25歳のタイミングで「あまり口を出さず見守っていてほしい」と思う割合が2倍近いスコアに増加します。新人のころと比較して自分なりの成功体験を得て、また後輩もできたことによって、上司からの細かな指導を嫌がることが分かります。

フリーアンサーでも若手社員のやり方に対する過度な口出しを嫌がる傾向が見えます。しかし、この上司離れともいえる変化は必ずしも一定ではありません。

明確に希望する指導方針を持っていない「どちらでもない」という選択肢に注目すると、細やかな指導を求める人数は大きく変わらないまま、26歳を超えるタイミングで見守ってほしい人が減少し、「どちらでもない」というニュートラルな回答が増加します。これは26~27歳では経験を積む中で自分だけでは解決できない壁にぶつかり、判断に悩んだ結果「どちらでもない」と答える割合が増加したと考えられるでしょう。
このように壁にぶつかり、自信を失ってしまう20代中頃を本記事では「迷子期」と命名しました。続いて、次章では上記とは異なる視点から「迷子期」を分析します。
②小言にも実は感謝している?「言葉にはしなかったけど、実は心の中で感謝した」割合とは。
迷子期は自分の判断に迷いミスを起こしてしまうことで、自信を失ってしまう時期を指します。そうした時期に管理職に感謝をするか、という別軸で見ることで、より明確に「迷子期」というものが見えてきます。

グラフ2は「言葉にはしなかったけど、実は心の中で感謝した」割合を示しています。これを見ると『仕事の場で注意・指摘されたことに対して、「言葉にはしなかったけど、実は心の中で感謝した」こと』について、22~23歳の時期から減少したスコアが26~27歳のタイミングで再び上昇しています。続いてフリーアンサーを見てみましょう。
ミスのカバーやアドバイスに対する感謝の声が散見されるのも、迷子期の特長です。言葉にしづらいものの、内面的な成長として「感謝の気持ち」が芽生えるタイミングなのかもしれません。

「誉めて伸ばす方が良い」は思い込み?厳しい言葉が思いやりになるとき。
上司への感謝する機会が増えるなど、管理職である上司との関係値に変化が現れる「迷子期」。そんな迷子期において、若手社員が希望する指導方法はどのようなものでしょうか。どのような指導方法で成長するかというアンケートから、「迷子期」を見ていきましょう。

近年、職場では「誉めて伸ばす」文化が主流と言われていますが、グラフ2を見ると22~25歳の6割が「誉めて伸ばしてほしい」と回答しています。一方で26-27歳を迎えると「厳しい指導」を求める割合が増加。同時に「どちらともいえない」が微増。求める自分自身のやり方に疑問を感じて壁にぶつかっている悩みが読み取れます。部下のミスに対しては優しいだけではない、適切なフォローが求められているのでしょう。
③上司が取るべきコミュニケーションの秘訣
迷子期の部下には、上司側が若手社員の心理や成長段階を理解し、適切なコミュニケーションを取ることが重要です。以下に、具体的な対応策をいくつか挙げます。
1.タイミングを見極める
助言や指導を行う際は、タイミングが重要です。「迷子期」の社員が困っている時やアドバイスを求めている時に適切な助言を行うことで、感謝の気持ちを引き出すことができます。逆に、必要以上に干渉すると「余計なお世話」と感じられる可能性が高まると考えられています。
2.相手の意見を尊重する
「迷子期」の社員が自分の意見や考えを持つようになったら、それを尊重する姿勢を示しましょう。一方的に指導するのではなく、相手の意見を聞きながらアドバイスを行うことで、信頼関係を築くことができると思われます。
3.時に厳しくも、ポジティブなフィードバックを心掛ける
成果を認め、努力を称える言葉をかけることを前提としつつも、ミスに関してはキチンと指摘し、フォローをしましょう。上司への信頼感が高めることができるでしょう。
4.適度な距離感を保つ
グラフ4は業務外のコミュニケーションの希望を尋ねたもので、いかに悩みがちな迷子期でも業務外でのコミュニケーションを望む割合の増加はわずかに留まります。迷子期で悩んでいるとしても、過度に干渉しない方がよいと言えるでしょう。業務内に必要な時にサポートを行うことで、若手社員のプライベートや自主性を尊重することができます。

④「迷子期」をポジティブに捉えよう。
「迷子期」は必ずしもネガティブな現象ではありません。むしろ、若手社員が自立し成長している証拠とも言えます。上司としてはそれを喜び、サポートする姿勢が重要です。またこの現象をポジティブに捉えることで、上司自身も成長し、若手社員との関係性やコミュニケーションを見直す機会となります。お互いを尊重し合いながら成長していくことで、より良い職場環境を作り上げることができるでしょう。

■調査概要
・対象エリア :日本全国
・対象者条件 :22~29歳の1都3県在住者男女
・有効回答数 :200
・調査手法 :インターネット調査
・調査期間 :3月17日~3月21日
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