就活生は、より「慎重」に。|企業のリアル”を求める、令和の就職活動の実態とは ≪ 中編 ≫ クラスター別にみる就活生のタイプと傾向
クラスターごとに異なる就活生の傾向

全体傾向として見えてきた、より慎重になった就活生の姿。しかし、それらは平均値としての全体傾向であり、自社が必要とするタイプによってはその返答は異なります。2026年度は前回調査でも分析した、特徴的な傾向をもつクラスター分析を今回も継続。2026年の調査では新たに4つの特徴的なクラスターに分類し、それぞれにどのような特性があるかを分析します。
目次
・就活生の企業選びに表れた、4つの特徴的なクラスター
・特に大きな差が生まれた選択項目と傾向
・各クラスターはどこで情報を得るのか
・クラスターごとの企業認知の影響
・短い動画を好む層と、内容次第で長さを受け入れる層
・データで示された、クラスターによる明確な差
就活生の企業選びに表れた、4つの特徴的なクラスター
企業選びや働き方で重視する点をもとに就活生を分類すると、5つのクラスターに分かれました。最も多いのは特定の項目への偏りが比較的小さい「平均型」で、全体の40.8%を占めます。
一方で、大きく特徴が表れたのは以下の4つのクラスター。「成長・実力志向型」、「適性・専門性重視型」、「社会的意義・大手志向型」、「働きやすさ・安定重視型」にはそれぞれの傾向が読み取れます。
以下の図では、各タイプの特徴を「レーダーチャート」と「働き方で重視する項目」の2つの視点から示しています。
左側のレーダーチャートは、複数の選択項目を「成功・裁量」「大手志向」「働きやすさ」「適正・専門性」「社会的意義」「組織の活気」の6つの特徴に集約し、それぞれの傾向を偏差値で可視化したものです。全体平均と比較することで、各タイプがどのような価値観を強く持っているかを把握できます。右側には、各タイプが特に重視する具体的な選択項目とその回答割合を掲載し、レーダーチャートに表れた特徴をより詳しく示しています。
成長・実力志向型

会社の規模やブランドにはこだわらず自分の成長を第一とする層です。そのために若いうちから仕事を任せられる環境と努力と成果に対する適切な評価を求めています。同時に適性や専門性も重要視している層です。
適性・専門性重視型

あくまで自分のライフワークバランスを大切にしながら、何よりも自分の専門性を活かせる、希望の業界で能力を高めることを重視します。大手志向の意向はなく、会社の先進性や世の中への影響力などに左右されません。
社会的意義・大手志向型

企業規模や経営の安定性よりも、社会への影響力を重視する層です。希望職種への配属や社内の風通しの良さ、個人としての成功よりも、知名度の高い企業での仕事を通じて、社会に大きなインパクトを与えることに価値を見出す傾向があります。
働きやすさ・安定重視型

転勤がなく、風通しのよい職場で多様な働き方を選べること。加えて安定した業績、高い給与水準など、働くうえでの安心感や待遇を重視。仕事と私生活のバランスを保ちながら、安定したキャリアを築くことを望んでいます。
このように企業選びで重視する項目は、クラスターによって大きく異なります。次にクラスター間で特に回答割合の差が大きい項目に着目し、それぞれの特徴をさらに詳しく見ていきましょう。
特に大きな差が生まれた選択項目と傾向

就活生の企業選びには、成長機会や働きやすさ、専門性との相性、企業規模など、クラスターごとに大きく異なる判断軸が見られます。特に対照的なのが、「成長・実力志向型」と「働きやすさ・安定重視型」です。前者は仕事を通じて能力を高められる環境に、後者は仕事と私生活を無理なく両立できる環境に魅力を感じやすいと考えられます。
また大手志向が同程度であっても、大企業に求める魅力を「安定性」でひとくくりにすることはできません。「働きやすさ・安定重視型」は業績や許与の高さに安定性を感じやすく、一方で「社会的意義・大手志向型」は規模の大きさや知名度による安心感を抱いていると推測されます。同じ大手を志向するタイプでも、生活の見通しを確かめたい人と、企業の存在感や影響力を知りたい人とでは「必要とする情報」が異なります。
他にも、前述した「希望した業界で働く」ことの順位低下の中でも、「適性・専門性重視型」は希望する業界であることを重視しています。「働きやすさ・安定重視型」と比較すれば、その差はおよそ3倍まで広がります。
このようにクラスターごとに全く異なる傾向があり、画一的なメッセージやコミュニケーションでは狙っている層に響かない可能性があります。自社が求める人材の特性を理解し、そのうえでどのような情報を伝えるかを定めることで適切なコミュニケーションを行うことができると考えられます。
各クラスターはどこで情報を得るのか

こうした企業選びの違いは、情報収集の手段にも表れています。「就職専門のWEBメディア」をよく利用した割合は、「働きやすさ・安定重視型」で69.9%、「適性・専門性重視型」で63.9%でした。一方、「成長・実力志向型」は41.6%、「平均型」は39.1%で、最も高い層と低い層では大きな差があります。就職専門メディアは主要な接点ですが、すべての層が同じ程度に利用しているわけではありません。
「大学の就職支援センター」も、「適性・専門性重視型」が51.4%、「働きやすさ・安定重視型」が50.4%と、いずれも半数を超えました。「成長・実力志向型」の28.6%と比べると高い水準です。「合同説明会」の利用も、「適性・専門性重視型」が58.3%、「働きやすさ・安定重視型」が54.1%で、就職専門メディアに加え、大学の支援や説明会も利用する様子がうかがえます。
また先輩、友人に関して「平均型」は極めて利用率が低い一方、「社会的意義・大手型」がかなり重視していることが分かります。

また「よく利用すること」と「特に信頼すること」は、分けて見る必要があります。「就職専門のWEBメディア」を特に信頼した割合は、「働きやすさ・安定重視型」で54.9%、「適性・専門性重視型」で50.0%となり、ここでも高い水準でした。
また、「働きやすさ・安定重視型」は「口コミサイト」の利用が29.3%と最も高い一方、特に信頼した割合は10.5%でした。その他のクラスターのいずれを見ても半減しています。これは口コミを利用しているからといって、それだけを強く信頼していることを指しています。「利用はするが簡単に信用はしない」という慎重な姿勢が見受けられます。
企業にとっては、情報を掲載する場所だけでなく、その情報を誰が、どのような場で伝えるかも大切になりそうです。就職専門メディアで条件や制度を確認できるようにすること、大学の就職支援や説明会で具体的な仕事内容を伝えることなど、届けたい層に応じた接点づくりが考えられます。
クラスターごとの企業認知の影響
企業を知っていることが応募にどの程度影響するかにも、クラスターごとの違いが見られました。「とても影響した」「まあ影響した」を合わせた割合は、「社会的意義・大手志向型」が80.7%で最も高く、「働きやすさ・安定重視型」は54.2%でした。両者には26.5ポイントの差があります。特に「とても影響した」は、前者が35.7%、後者が11.3%と、差が目立ちます。
「社会的意義・大手志向型」にとっては、以前から企業を知っていることが、応募を考える際の重要な判断材料になっていると考えられます。一方、「働きやすさ・安定重視型」でも半数以上が影響を受けているものの、その割合は相対的に低く、企業を知っていることだけでは応募を説明しきれません。知名度に加え、待遇や働き方など、具体的な条件を伝える必要がありそうです。
短い動画を好む層と、内容次第で長さを受け入れる層

動画の長さに対する考え方は、クラスターごとに見ると違いがさらに明確になります。「適性・専門性重視型」と「社会的意義・大手型」が「内容次第で長尺も許容」する割合は「内容にかかわらず普通のCM(1分程度)がいい」のおよそ3倍となります。これは自身の希望する点とどこまでズレがないかをしっかり確認したい意向が見受けられます。
一方で「内容にかかわらず普通のCM(1分程度)がいい」とした割合は、「働きやすさ・安定重視型」で46.4%に達しましたが、「内容次第で長尺も許容」とした割合は26.2%と大きく下落します。
こうした結果からは、採用動画を一律の長さで制作するよりも、伝える内容と相手に合わせて設計することが考えられます。たとえば、「働きやすさ・安定重視型」には待遇や勤務地、働き方の要点を短く伝え、詳しい情報へ案内する方法が考えられます。「社会的意義・大手志向型」には事業が社会に果たす役割を、「適性・専門性重視型」には仕事内容や専門性を活かせる場面を、具体例を交えて伝える動画も選択肢になりそうです。
データで示された、クラスターによる明確な差
慎重な姿勢は全体傾向としてありつつも、それぞれのクラスターごとに何を重視しているか、その違いがはっきりと現れた調査結果となりました。自社が求める人材に合わせた情報とプロモーション手段がこれからのリクルートコミュニケーションには必要となります。
では、就活生は企業についてどのように情報を集め、どんな手段で「企業のリアル」を知ろうとしているのでしょうか。後編では、この2年間で急速に発展したAIの就職活動における利用状況や情報収集の手段、就活生が知りたい企業の実情を読み解いていきます。
▶後編は近日公開。
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■調査概要
・対象エリア :日本全国
・対象者条件 :就職活動経験のある4年制大学卒
新卒入社1~3年目の会社員(正社員)
・有効回答数 :765
・調査手法 :インターネット調査
・調査期間 :2026年8月18日~8月31日
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